場所:のぞみメモリークリニック |
前回と同様に、待合室のテレビの前の一角を使って行った。テーブルを2脚合わせて使用。丹野さんは入り口の方向を向く。丹野さんの前に本人、横に家族がすわる |
時間:2024年2月7日(水)10:00 〜 17:00まで |
参加者:当事者8人 ・ 家族7人 |
サポーター:丹野智文さん obs:本多智子・寺尾康子 |
ピアサポート後、力強く握手する参加者と丹野さん。
「オレ、丹野さんに会えて嬉しかったよ。今日会えて幸せ!」とおっしゃっていました。ピアサポートの力を目の前にして、丹野さんに続くピアサポーターがここ三鷹でも生まれることを、心から期待しています。
2024年2月7に(水)に丹野さんのピアサポートが東京都三鷹市のぞみメモリークリニックで実施されました。仙台から駆けつけてくれた丹野さん。「目の前の認知症の人を笑顔にしたい。それだけ。」といつも語ってくれます。その思いは確実に伝わっているのだと、強い握手の瞬間に周りの人間にも伝わってきました。
診断されて1年半くらいは、泣いていたと話してくださいましたが、このような前向きになるきっかけを伺うと、やはりそこに認知症の先輩の話を聞き、自分の話をした経験があるとのことでした。認知症と診断されることは、とても個人的な経験です。これから起こることに対してどうやって生きていくのか、いったい自分はどんな経過を辿るのだろう、自分が支えていた家族(小さなお子さんを二人育てていました)はどうなってしまうんだろう。医療や介護だけでは解決できない課題や、自分というものが失われてしまうのかという不安との闘いを、先輩の話を聞くことで自分はどのように生きていくのかという課題へと昇華させていかれたと思います。
認知症がみんなのものとして、少しずつ捉えられるようになってきた今、「10年経っても元気だよ」と笑顔で話す自分が、今診断された人の力になると確信を持ってピアサポートを実施されています。目の前の認知症の人が語る世界を「見えるんだよね」とも話され、認知症の診断から変わってしまったのは周りで、本人には記憶しづらいこと以外は何も変わらないことを伝えています。将来に不安を抱くより、今日1日をどうやって楽しくよりよく生きることができるか考えてるから、元気なんですと参加者の皆さんにお話しされていました。
地域認知症サポートブリッジでは、認知症の人のピアサポート活動を応援しています。
ピアサポートってなんだろう?
ピアは「等しい立場の人」を意味します。ピアサポートは、自らの経験に基づき、お互いに支え合う活動です。認知症や精神的な問題、病気、障害など、同様の経験を持つ人が支援者として活動し、経験や知識、感情を共有します。ピアカウンセリングとは異なり、双方が仲間として対話します。専門家の支援とも異なり、経験者同士が理解し合い、励まし合うことで、前向きな気持ちや生きる力が生まれます。
丹野智文さん
宮城県仙台市在住の丹野さんは、39歳の若さでアルツハイマー型認知症と診断されました。その当時、自動車販売会社で営業マンをしていましたが、商談したばかりの顧客の顔や名前を思い出せないことがありました。当時はネットや本などで探しても、前向きに生きていくための良い情報もなく、小さな子どもたちや妻を思うと毎日泣く日々があったそうです。
ピアサポートでは、最初の一言が「診断されてから10年以上経っているけど今も元気です」と言って笑顔で始まります。丹野さんの活動は「目の前の認知症の人を笑顔にしたい」という思いから生まれています。