丹野さん、三鷹でのピアサポート-2

2023年4月3日 水曜日 
第2回 丹野智文さんのピアサポートを振り返って
場所:のぞみメモリークリニック
待合室のテレビの前の一角を使って行った。テーブルを2脚合わせて使用 
丹野さんは入り口の方向を向く。丹野さんの前に本人、横に家族がすわる
時間:10:30~ 18:00まで 
参加者:当事者6人、家族6人 (飛び入り2組)
サポーター:丹野智文さん  obs:本多智子

4月3日(水)三鷹市にあるのぞみメモリークリニックで丹野さんのピアサポートが行われました。参加されたのは6名の当事者とご家族。その中の一部を取り出して、元気をもらえる丹野さんの言葉を紹介します。今までの私たちの「認知症を見る目」から鱗がおちます。

地域認知症サポートブリッジでは、認知症の人のピアサポート活動を応援しています。

丹野さんの言葉を紹介します

失敗はしますよ。でも諦めないでください。失敗体験のまま終わらせないことが大事です。

失敗体験で終わらせないこと。失敗を恐れて家族に依存すると、家族が先回りしてあれこれやるようになります。これを共依存と言います。家族が失敗を心配して、あれもやってはいけない、これもやってはいけない突口出しするようになると、本人は鬱になります。「共依存」と「うつ」は防げると僕は思います。

今、不安かもしれないけど失敗しても、いざという時、不安を減らす準備を「備えを」するのです。

仲間から「工夫」を教えてもらってます。鞄に入れてある、財布、保険証、家の鍵には、それぞれ紐をつけて鞄にくっつけてありますが、鍵の紐は赤、保険証は緑、財布は黄色と色分けしておくと都合がいいそうです。忘れないようにノートにメモしますが、1日を1ページとして、書くところが余っても、次の日は新しいページにします。そうすると、混乱が避けられます。

ノートの準備、紐は自分で買いに行きます。紐の色も自分で決めます。家族や他の人にやってもらっても、記憶に残りにくいのです。ノートも、好きなもの(色、柄、大きさなど)を選んでください。

思い出そう出そうとすると辛くなるだけ。これから何をしよう、どうしようかを考えて行きましょう!

私(丹野さん)は帰宅したとき、娘の顔がわからなくなって不安です。でも娘の方から「パパ○○だよ」と言ってくれます。大丈夫です。

(ご主人と)仲良しはいいけど、頼りすぎたり、ご家族も失敗しないようにと支えすぎてもダメなんです。それと家族だけで守ろうとしない。

仙台にね「女子会」という認知症の女性ばかりの会があるんです。Bさん、下着買うときは、女の人だけで行くのがいいですよね。男の人と一緒だと恥ずかしいでしょう?女子会は、下着とかの買い物をしたら、おいしいケーキを食べておしゃべりして帰ってくるんです。いいでしょう!同じ、認知症の人と交わるといいですよね。

人に病名(認知症であること)だけを伝えるのではなく、Bさんが出来ること、やりたいことも伝えてください。・・・今のままでいいじゃない!やれることをやってください。

全てを助けてもらわず、一部、助けてもらいます。

僕はしゃべれるけど、人の顔がわからなくなるんです。上司の顔や、会社の自分の席もわからなくなるけど、人に聞けばいいんです。会社で会議の時「上司ってどの人だったっけ?」と聞くと教えてくれますよ。認知症になるとわからなくなることも出てきますが、工夫すれば生きられます。失敗しても構わないのです。助けてもらえます。

認知症の人は「経験専門家」と言うんですよ。だって、木之下先生でも認知症ではないからね(笑)

(お母さんのこと)心配してあげてもいいけど、信用してください。認知症になると、もうダメみたいな印象がしますが、財布、携帯など取り上げないでね!

病名ばかりにとらわれないでください。誰でも落ち込みます。

でも、失敗もたくさんありますよ!、でも這い上がる!他人には病名だけ言うのではなく、Eさんが「出来ること」「困っていること」「やりたいこと」も伝えてください。それから、スポーツすると笑顔になるし楽しいですよ。通勤中には、今まで見えなかった景色を楽しむとか。

オブザーバーとして同席したスタッフの言葉

「世話になっている。申し訳ない」という思いが、自分がやりたいことやしたいことへのエネルギーを抑制してしまう

認知症の人の家族の思いや支援は、状況によっては追い風とも向かい風ともなります。家族自身が焦りを感じ、何とか解決しようとすることが本人の気持ちにそぐわない事もあるからです。ピアサポートの丹野さんが言うように、「当事者と家族(支援者)を別にサポートすること」は非常に重要な意味があります。

しかし、家族や支援者の協力を得ながら認知症の人が日常生活を続けるために、工夫は重要ですが全てを解決することはできないのかもしれません。

例えば、認知症のために免許証を返納したDさんは、外出時には妻による送迎が必要になりました。携帯電話は持っているものの、財布は持たせてもらえません。これはDさん側の意向なのか、奥さんの考えからくるものなのか、夫婦の事情も関わっているかもしれません。夫婦の歴史は重たいものです。